高校野球あれこれ 第48号
~名勝負列伝-【26】佐賀商×樟 南~ <甲子園決勝、初の満塁HR 無印の公立校が下馬評を覆す> 野球選手なら誰もが「一度は打ってみたい」と思うもの――。それが満塁本塁打だろう。夏の全国選手権で満塁本塁打は通算52本あり、決勝でも3本が記録されている。その最初の1本が飛び出したのは1994年の第76回大会。佐賀商の西原正勝が、大舞台で夢心地の気分を味わった。 選手権の長い歴史で、九州勢同士による決勝は佐賀商―樟南(鹿児島)戦の一度しかない。この時、大方の予想は樟南の圧倒的優位。樟南には前年の春夏に甲子園で活躍した福岡真一郎―田村恵のバッテリーがいて、大会前から優勝候補に挙げられていた。一方の佐…